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【読書メモ】アニメの教科書 上下 岡田斗司夫

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エヴァンゲリオンやナディアでおなじみのアニメ制作会社GAINAX

岡田さんが会社立ち上げしてから、退職するまでの間に制作された作品の裏話と、それと絡めたクリエーター論、青春私小説と色んな要素が混ざる本。

内容はとても濃くて面白い。

 

王立宇宙軍トップをねらえ不思議の海のナディアも観たことない僕が読んでもとても面白かったです。

 

勿論、それらの作品を観ていて、更にファンだというならなお面白かったと思う。

それまで読んだ岡田さんの著書の内容補完にもなっていて、こういう経験をしてきたからああいう意見が出るんだなと理解が深まる内容。

 

アニメを、SFを産み出す側にまわって趣味を楽しむという経験をしてきた著者からすると、今のオタクは消費的で死んでいると感じられるのも無理はないでしょうね。

ただ、アニメに関しては、今からクリエイトな人になるのは勉強しなければいけない歴史が多すぎて大変だよねという話しは書いている。

歴史の中にいた人は、学ばなくても勝手に体験として身についている部分があるから。

 

僕ぐらいの年齢だとアニメ制作会社のGAINAXのイメージが大きいですけど、ゲーム部門のエピソードにも結構話が割いてある。

 

大学生の頃、エヴァンゲリオンに心酔していた友達が、その後に経営が大変で、なりふり構わず、エヴァンゲリオンのグッズやエロゲー作っているのを見て、本当に幻滅!せっかく育てたキャラクターとかをこんな風に切り売りしかできないなんてなんて無能な経営者たちなんだと激怒していたけど、やっぱりアニメ制作会社っていうのは経営が大変なんですね。

先日読んだピクサーの本にも、この持越費用の問題が書いてあります。

実写みたいに、企画して撮影してチーム解散してとはいかない。

固定給を払わないといけないし、アニメーションを描くのに膨大な時間がかかり量産できないし。

 

GAINAXも同じ問題に直面している。

 

www.richardh.work

そこで、活路を見出したのがエロゲーを作ろうという戦略。

しょぼいグラフィックのエロゲーしかなかった所に、本格的な作画能力がある会社がエロゲーに参入したのが、電脳学園という脱衣ゲーム。

その後、自身のヒットアニメ トップをねらえ!の公式脱衣ゲームにまで手を染める(笑)

そのなりふり構わないどぶ板戦のかいあって、ゲーム部門が決算書上はGAINAXの主力事業になってゆく。

 

食わなきゃいけない、でも、本当はもっと会社として作りたいものがあるとか色々葛藤があったようだ。

エロゲーで利益を出して、ナディアの製作でその利益を食いつぶしてゆくみたいな構造。

そこで、生まれるクリエイター達との軋轢。

そのあたりの人間劇とか興味深い。

 

本書は、アニメでもエロゲーでもなんでも、テーマというものを骨に作品を作る事の強さを説いている。

伝えたいメッセージを投影した作品というのはなんでも強いし、そのテーマが観る者に伝わらなくても、色々な所に凄みという形で現れるって書いてある。

 

このテーマの話に付随するのが岡田さんが考える作り手が気を付けないといけない事。

その話が意外でした。反省も込められていると思うんだけど。

 

宮崎勤事件をどういう風に捉えているかって言う話。

宮崎勤は、自分達が生み出しちゃったかも知れないっていう思いをこの本で告白している。

宮崎勤とオタクの関係は、他の著作でも触れていたけど、自分たちが宮崎勤を生んでしまったと考えているのは初めて聞いた。

 

世間的には、これだけケシカラン漫画やケシカランゲームに触れている奴はいるけれど、殆どのやつは妄想で終わるし、実行するやつなんて万人に一人とかそういう規模というのが一般論だけど、それを真っ向否定している。

 

SF小説家の大家、筒井康隆さんは、筒井康隆の小説に影響され、殺人を実行したという青年の事件を受け、俺の小説を読んでいればそういうやつも現れるだろうね。そういう危険な魅力があるのもまた文学だよみたいな事を語っていたらしい。

 

リエーターの極一部の人間が、そういうタブーを扱った作品を作る事は否定しないけど、まともなクリエーターは基本的には社会が良くなって行ったり、観賞する人が救われたり元気になったりするようなものをテーマにしないと作り手として無責任だという。

それぐらい、宮崎勤事件ていうのはショックだったみたいだし、それ以降は、無責任に作品を作ってあとは受け手の責任でおかしな事をしたらそいつが悪いんだっていう自己責任論を振りかざす態度を批判していた。

もっと表現の自由、俺たちオタクを宮崎勤みたいなやつと一緒にしないでくれって意見を持っていると思っていたのでそこがとても意外でした。

 

上巻は、GAINAXの前進となるアマチュア活動 SF大会 DAICON FILM 時代からナディア製作開始までの裏話。

 

下巻は、本当はこの作品は俺はこうやって作りたかったんだみたいな岡田さんのフラストレーションを吐き出す部分が3分の2ぐらいでしょうか(笑)

 

上下巻読んだらとてつもなく長い本です。

内容的には上巻の方が濃いなと思います。

青春活劇てきなところもあってテンポが良いのは上巻ですね。

上巻が気に入ったら下巻も是非というところでしょうか。

 

ビジネス書としてもおもしろい部分がありますし、クリエイトな事を仕事にしていたりこれから目指したいという学生さんは楽しめる内容だと思います。

勿論、GAINAXのアニメが好きな人は滅茶苦茶おもしろいでしょう。

 

アニメの教科書 上巻: 岡田斗司夫の『遺言』より

アニメの教科書 上巻: 岡田斗司夫の『遺言』より

 
アニメの教科書 下巻: 岡田斗司夫の『遺言』より

アニメの教科書 下巻: 岡田斗司夫の『遺言』より